プランニングポーカーについて

Reading time: 約4分
Publish date: 2022-07-12
Tags: agile, scrum, estimate, planning poker

　スクラムの見積もりでよく行われているプランニングポーカーについて説明します。

要旨

プランニングポーカーの目的

　一般的には、スクラムのイベントであるスプリントプランニングで行われます。バックログリファインメント時や別途時間をとっているチームもあるかもしれません。

　スプリントで着手可能なストーリー/タスクに対して、大きさを見積もります。大きさはポイントとして表現されます。見積もる目的はまちまちですが、例えば「スプリントで消化できる量の妥当性を確認する」「ベロシティ1を計測し、いつ頃に価値が手に入るかの目安を知る」といった目的が考えられます。

　共通認識を持ち、全員がストーリーの実現を確信し、スプリントの完了を想像して進められる状態にすることが大事です。

プランニングポーカーの手順

　プランニングポーカーはプランニングポーカーカードを用いて行うことが多いです。あくまで補助的なツールに過ぎませんが、議論に集中し、素早く見積もることが可能です。

  1. 共通認識を作る
    • 見積もり対象であるストーリーやタスクの内容をチームで共有します。
    • ここで認識がずれていると見積もりの幅が安定しません。
    • 各人が見積もれる状態にするため、不明なことは何でも質問しましょう。
  2. 基準を決める
    • プランニングポーカーは相対的な見積もりです。
    • 基準となる過去のストーリーとそのポイントを共通認識として決めます。
    • 初回で実績がない場合などは、何か共通となる事柄で仮置きします。
  3. プランニングポーカーカードを出す
    • せーので、場にカードを出します。
    • 忖度せず、自分の思う見積もり2を提示しましょう。
  4. 話し合う
    • 意見が分かれる場合は特に議論が必要です。両極端な意見から聞いてみましょう。
    • 統計量で機械的に決まりそうな場合はルールを決めておくとよいでしょう。最頻値を採用する、中央値を採用する、などです。
    • 認識のずれ、進め方の想定の違い、漠然とした不安などを話し合い、解消し、再度カードで見積もりを行います。
    • 再見積は最大でも3回までです。決まらない場合は、見積もれる段階にないため、見送るか、分割するか、対応を相談しましょう。
  5. 決定
    • ポイントを決定したら、ストーリーカードや付箋紙に記入しておきましょう。

指標

　代表的な指標はフィボナッチ数列ですが、以下のようなバリエーションがあります。

　いずれの指標を採用したとしても、基準となるものから相対的に見積もることを忘れないようにしましょう。

特殊なカード

　プランニングポーカーカードのデッキ によりますが、以下のようなバリエーションがあります。

自分たちの見積もり

　このポイントはあなたのチームが、今、共通の基準の下、見積もったポイントです。他のチーム、別のメンバー、異なるプロジェクト、異なる時代に適用することはできません。当然ですが、基準となるストーリーとポイントが変更されると相対的に変化します。

　このことから数値の単位に意味はないことがわかります。ストーリーポイントを表す「SP」を採用することもあると思いますが、自分たちのポイントですから好きな単位をつけるとよいでしょう。

  1. ベロシティ・・1スプリントで完了したポイントの合計値。チームがスプリントで消化できるポイント量のこと。スプリントごとに安定しないことがあるため、直近のスプリントの平均値などを採用することもある。 ↩︎

  2. 自分の思う見積もり・・見積もる対象は時間ではなく、仕事量です。つまり、**誰がやっても同じ仕事量です。**私がやると5SPだけど、慣れた人だと3SPといったことは通常起こりません。 ↩︎