[数学] ドラクエVで考える確率

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Publish date: 2024-01-08
Tags: math, probability, permutation, combination, game

 国民的人気のRPGであるドラゴンクエストV 天空の花嫁 (以下、ドラクエV1)を題材に「メタルキングを倒せる確率」について考えてみます。基本的な確率の考え方については前回 をご参照ください。

要旨


背景

 ドラクエVには「メタル系」と呼ばれる「防御力が高く、逃げる確率は高いが倒した際の経験値が豊富」なモンスターが存在します。「メタルスライム」「はぐれメタル」「メタルキング」です。また、ドラクエVには、「モンスターを仲間にして育てる」という要素が備わっており、やりこむにつれてモンスターを育成するための経験値稼ぎが重要な要素となってきます。

メタルキング

 「メタル系」のモンスターは防御力が高く、ほとんどの攻撃においてミス、またはダメージは1となります。逃げる確率の高さから、1ずつダメージを与えて倒すことはあまり現実的ではありません。そこで、ゲーム進行前半では「どくばり2」が、ゲーム進行後半では「まじんのかなづち3」が推奨されます。いずれも一定の確率で確実に倒すことができます。

まじんのかなづちが理想的

前提条件

 
謎の洞窟


最適解

 最適解は「すばやさ255のキャラクター4体にまじんのかなづちを装備させる」です。実はまじんのかなづちを装備できるモンスターは「すばやさが遅い4」という共通点があります。したがって、現実的にはサンチョ+ギガンテス3体で実現できます。

 
最適解のパーティ例

 ここまで達しているプレイヤーは何も考えることはありません。馬車にレベルを上げたいモンスターを待機させ、ひたすらメタルキングを倒してください。ここで考えたい確率は「ここに至るまでの過渡期において最適解は何か?」です。


パターン

すばやさが上回る+まじんのかなづちx4編成の場合

 まずは最適解の確率を計算してみましょう。倒せる確率は全員がミスをする場合の余事象で考えます。非常に高い確率で倒せることが分かります。

$$ 1 - ( \frac {1} {2} * \frac {1} {2} * \frac {1} {2} * \frac {1} {2} ) = \frac {15} {16} = 0.937 $$


すばやさが追いつかない+まじんのかなづちx4編成の場合

 まじんのかなづちを4本持っていたとしても、すばやさが追いつかなかった場合はどうでしょうか。すばやさが追いつかないと言うことは、50%の確率で逃げられると仮定して計算します。厳密には逃げられなかった場合にもパルプンテにより行動不能で倒せない可能性もありますが、簡単のためにここでは逃げられなかった場合は倒せたとして、前述の倒せる確率の半分とします。実際にはもう少し低くなります。

$$ 0.5 * 0.937 = 0.4685 $$


すばやさが上回る+どくばりx4編成の場合

 パーティを編成しやすい、どくばりのみの場合を計算してみましょう。全員がミスをする場合の余事象で考えます。

$$ 1 - ( \frac {5} {6} * \frac {5} {6} * \frac {5} {6} * \frac {5} {6} ) = 1 - \frac {625} {1296} = \frac {671} {1296} = 0.517 $$

 およそ51.7%の確率で倒すことができます。1ターン目に倒すことができなかった場合でも、4ダメージは蓄積するため、逃げられなければ2ターン目に倒せる確率は高いです。


すばやさが上回る+どくばりx3/かなづちx1混成の場合

 まじんのかなづちを4本揃えるのは大変です。混成した場合の確率を計算してみます。

$$ 1 - ( \frac {5} {6} * \frac {5} {6} * \frac {5} {6} * \frac {1} {2} ) = 1 - \frac {125} {432} = \frac {307} {432} = 0.710 $$

 どくばりが3人いるため、1ターン目に倒すことができなかった場合でも、逃げられなければ2ターン目に6ダメージで倒せる可能性はあります。


すばやさが上回る+どくばりx2/かなづちx2混成の場合

 まじんのかなづちの本数が増えるほどに倒せる確率は高まっていきます。

$$ 1 - ( \frac {5} {6} * \frac {5} {6} * \frac {1} {2} * \frac {1} {2} ) = 1 - \frac {25} {144} = \frac {119} {144} = 0.826 $$

 メタルキングのHPは6以上のため、どくばりが2人になるとダメージの蓄積が少なくなり、1ターン目に逃げられなかったとしても2ターン目に倒せる確率は高まりません。


すばやさが上回る+どくばりx1/かなづちx3混成の場合

 まじんのかなづちの本数が増えるほどに倒せる確率は高まっていきます。

$$ 1 - ( \frac {5} {6} * \frac {1} {2} * \frac {1} {2} * \frac {1} {2} ) = 1 - \frac {5} {48} = \frac {43} {48} = 0.8958 $$

 ここまでくると1ターン目に倒すことが期待されます。


メタルキングが2体いる場合

 ここまでは暗黙的に1体の場合に倒せるか倒せないかを想定していました。しかし、メタルキングは2体で出現することも多いです。まじんのかなづち4本ですばやさが上回る場合、2体とも倒せる確率は約68%です。1体は逃げずに残る可能性もあるため、ときのすなを持っておくとよいでしょう。

メタルキング2体

まとめ


その他

 
メタルキングはちいさなメダルを落とすことがある


装備に関する情報


仲間に関する情報


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  2. どくばりは1/6の確率で「いきのね」を止めることができます。それ以外は必中で1のダメージです。 ↩︎

  3. まじんのかなづちは1/2の確率で「かいしんのいちげき」が出ます。それ以外は「ミス」となります。 ↩︎

  4. ギガンテス以外では、まじんのかなづちを装備できるアークデーモン、エリミネーターはレベル最大ですばやさが90となるため、ほしふるうでわを装備させることで先制をとれる確率は上がります。 ↩︎